「それでも警官は微笑う」 日明 恩 講談社文庫2010/06/05 23:45

池袋署の武本は1年前の殺人事件に使われた拳銃の出所をひそかに追い続けていた。単独捜査の中で知り合った麻薬捜査官の宮田と年下の上司潮崎とともに事件を追う。一線を越えた捜査を続ける中、事件の中心に中国人実業家が浮かび上がる。

警察小説を標榜する作品なんだろうなと思います。文章のタッチは比較的軽めですが、嫌味なほどではないです。登場人物のキャラクターがよく立っていて、漫画にすると面白いかもという気がしました。特にいいとこの坊ちゃんという設定の潮崎の描写は油断すると上滑りしそうなんですが、適当なところで抑えが効いていていいですね。

ストーリー自体は少し風呂敷を広げすぎかなという気もしますが、全体的に楽しんで読むことができました。いろいろ盛りだくさんで分量もそれなりにありますが、あまりそういうことは感じないで読み切ることができます。

作中に盛んに他のミステリ、サスペンス小説の登場人物が出てきますが、ことのほか高村薫作品へのリスペクトが感じられますね。この辺もそれぞれの作品を読んだ人はニヤッとするのかもしれませんが、行き過ぎると腐女子的な香りを感じてしまうのでそこはさらっと読み流すのが吉かもしれません。

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