「パーフェクト・プラン」 柳原慧 宝島社文庫2010/04/04 01:18

「身代金ゼロ、せしめる金は五億円。」歌舞伎町の吹き溜まりで生きる男4人と女1人が誘拐事件を引き起こす。ターゲットは女良江が代理母として生んだ子供俊成。株屋とハッカーと警察を巻き込んで、事件は計画外のところへ流れ込んでいく。

第2回(2003年)「このミス」大賞受賞作です。速くてテンポのいい展開、読みやすい文体から、どんどん先を読んで行けてしまう作品ですね。私はあまり読むのが速いほうではないですが、この作品は格別早く読み終わった印象です。

テーマがなんだか見えにくい作品で、親子の絆がテーマなんだろうと思うのですが、IT系の技術的な描写が多すぎてなんだかその辺がぼやけているように感じました。私自身がそういう話題に反応しすぎなのかもしれませんが。EmacsでMewを実行しとか、もう引っかかりまくりですね。マニアぶりを描写したいんでしょうけど、そこまでする必要はないかと。

そういう描写は執拗なんですが、プロットは若干お粗末な感じがします。例えば、主人公たちは誘拐して株で儲けようという計画を立てるんですが、別に誘拐はいらんのじゃないか、という気もします。結末もどうなんでしょうね。これがまたテーマをぼかしてしまう要因かもしれません。

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