「ローマ人の物語17~20」 塩野七生 新潮文庫 ― 2006/03/27 23:15
いよいよ本格的に帝政に入った時代の話です。サブタイトル「悪名高き皇帝たち」にあるように、皇帝たちの悪行の数々が暴露されているか、というとそうではありません。著者いわく、反語的な意味でこのようなタイトルになっているようです。確かに、後世、悪名ばかりが目立つ帝政初期の皇帝たちを fair に見つめているように感じました。
特に、皇帝ネロなんかは、悪逆非道の限りを尽くした暴虐の人、という印象が強いのですが、この本を読むと、ちょっとピントのずれたダメ青年、といった印象です。やはり、キリスト教徒の迫害に先鞭をつけた、というのが後世の評価を著しく貶める結果になっているのでしょうね。
やってることは正しいが、独善的で人から理解されにくいティベリウス、優秀だが派手好きで庶民を喜ばせる一方で財政を破綻させるカリグラ、学者肌で頭はよいが、周囲から畏敬の念を払われないクラウディウス、そして当初人気はあったがちょっと抜けてて勘違いしてしまったネロ、とリーダーとしての資質とは、リーダーとして失敗するときの典型例とは、など考えさせられることの多い巻でした。今の自分に置き換えるとちょっと冷や汗が出ます。
後代の五賢帝の時代との比較によって、もっといろいろと得るものがあるかもしれません。続巻をよむのが楽しみです。
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