「オーデュボンの祈り」 伊坂幸太郎 新潮文庫 ― 2005/08/24 23:44
コンビニ強盗の真似事をして警察につかまった僕は、パトカーが事故を起こしたドサクサで、通りかかった見知らぬ男に連れられ不思議な島へ逃げた。100年以上外界から完全に遮断されながら、完全に時代遅れというわけでもないこの島には、しゃべる案山子がいた。
あまり見かけないタイプの小説だと思いました。不条理な設定の中で事件が起こり、不条理な世界なりの解決をみる、といったミステリ仕立ての内容です。こういう方向性に新たな可能性を感じる人もいるかもしれません。
が、私にとっては、ミステリだと思って読むと、気になって仕方ないのが、島の生活。経済原理は、社会インフラは、教育は、と引っかかることしきりです。そういうのを吹っ切って、不条理な寓話のように読むと、まっとうに殺人を推理しようとする主人公や、やたらと低俗で残虐な主人公の幼なじみが出てきて、現実的なミステリやサスペンス側に引っ張られます。
全体に不条理な独特の世界観は出ているのですが、意識してそうなっているのか、単なるヘタウマなのか、文学力のない私にはちょっと判断が付きませんでした。とりあえず、別の伊坂作品を読んでみる必要がありそうです。今回は判断保留ということで。
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_ ミステリー倶楽部 - 2007/02/20 10:07:12
厚めの本なので、最初は読むのが面倒に感じましたが、進むうちに止まらなくなって一気に読んでしまいました。
あまりあれこれ言ってしまうと、この本を読むわくわく感がなくなってしまうので、詳しくはいえませんが、無数の点でしかなかった事柄が、ラストに向けてどんどんと線になっていくさまは見事。なかなか自分で推理することはできません。
_ 本を読もう - 2007/03/25 09:15:53
未来が見えるはずなのに、どうして優吾は殺されてしまったのか?何でもあるように見える島に唯一欠けているものは何か?
ストーリーが進むにつれ、生きているときに優吾が語ったひとつひとつの言葉の意味が紐解かれていく。
嫌悪感を覚えるほどサディスティックな警官、「理由になってな
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