「告白」 湊かなえ 双葉文庫2011/06/20 22:55

一年生の終業式の日、B組の担任森口はホームルームで長い別れの挨拶をした。教師を辞めるという告白から始まったそれは、とりとめのない話のようで周到に仕組まれた復讐ののろしだった。

09年度の本屋大賞第一位の作品です。映画化もされましたね。未見なのでストーリーがどれくらい一致しているのか知りませんが、この結末で映画化したのだとしたらすごい、と思います。

最初の章は森口の告白だけで完結しています。基本的に森口のセリフだけです。ただ、時々生徒に名前で呼びかけたりします。これはまさに読み手がこのクラスの一員になったような感覚に落とし込みます。この冒頭部分の読み応えはすごいですね。ここだけでも読む価値はあるんじゃないでしょうか。

以降、終章まで森口は出てきません。関係者の一人称で各章が構成されています。この辺は互いの視線が微妙にねじれからまっていて、登場人物が立体的に浮かび上がってくるところですね。ウェルテルの章がないのがミソでしょうか。

終章で再び森口が登場します。講話調の語り口も丁寧な語尾も冒頭と同じですが、明らかに何かが変わっています。どう変わっているのか、たぶん映画とは違う結末なんじゃないでしょうか。これは読んでみてのお楽しみですね。

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