「インシテミル」 米澤穂信 文春文庫2010/10/16 18:12

コンビニでアルバイト情報誌を繰っていた結城は楚々とした場違いな美女須和名祥子と出会う。その須和名が指し示す記事には時給11万2千円のアルバイトが。車欲しさに結城が応募した怪しげな「ある人文科学的実験の被験者」とは極めて不穏当かつ非倫理的な仕事だった。

作者は2010年度版このミステリーがすごい!の作家別一位を獲得しているようです。なんというかすごく凝った話です。登場人物が多い、舞台描写がしっかりしている、ルールが細かい等々。これだけの煩雑さをそれなりにコントロールして物語として成立させている力量はすごいと感じました。もちろん、読者もそれなりにがんばらないとついていけませんが。

この手の凝ったミステリーはマニアックな話になりがちなところ、エンタテインメントとして楽しめる作品になっていると思います。映画化、というのも納得できる感じがします。まぁ、ロケとかほとんど必要なさそうなので、舞台となる暗鬼館のセットにもよりますが、制作費は結構安く上がるのかも。

しかし、空気の読めない文庫本読みとしては引っかかったところを指摘せざるを得ないですね。とにかく、人がキレイに死にすぎです。皆さんほぼ即死なんですよね。よく2時間ドラマとかで女の人が強請りにきた好色親父を刃渡り10cmくらいのナイフの一撃で即死させちゃうシーンとかありますが、あんな感じ。たとえば、飛び道具って意外に一撃必殺って難しいと思うんだけどなぁ。接近してたとしても。あともうひとつの方もちょっと疑問。時速20km位ですよ。中学物理で計算すると。死ななくはないと思いますが・・・

とはいえ、筆力はしっかりしてるし、最後のシーンも悪くないと思います。火サスに突っ込みいれたことのない方は文句なく楽しめるんじゃないかと思います。

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