「ローマ人の物語32~34」 塩野七生 新潮文庫 ― 2008/09/23 23:03
毎年恒例秋の「ローマ人の物語」祭りです。文庫もいよいよゴール間近です。残りは本作含めて単行本で4巻分。今年は単行本では12巻相当、「迷走する帝国」です。カラカラテルメと言えば宝塚チボリ、というのは関西人の常識だと思いますが、この大浴場で有名なカラカラ帝から始まる3世紀の危機が描かれています。
皇帝がササン朝ペルシアに生きたまま捕虜としてつながれ、ゲルマンの蛮族たちの侵攻も活発化します。そんな中、次から次へと皇帝が暗殺され首がすげかわっていきます。外敵の性質の変化もさることながら、継続しない政策、あまりにも浅慮な暗殺、失政、と内政にも問題が多発し、帝国は衰退していきます。
思えば「6~7 の勝者の混迷」で描かれたように、スキピオによるポエニ戦役勝利後、帝政前夜にもこういう危機があったように思います。また、帝政確立後、ネロ以後いわゆる五賢帝までの時代も「21~23 危機と克服」にあるように皇帝が乱立する時代がありました。これらに限らず内乱や外敵の脅威はここまでの時代にもあったわけですが、それなりにどれも克服してきています。ですが、この3世紀の危機以降、帝国は衰亡の道をたどるようです。
この3世紀の危機に限って克服できなかったのはなぜか。現象としての原因を挙げることは容易だと思うのですが、より深いところにある普遍的な原因はなんなのか。「なぜ」を5回繰り返すトヨタ式よろしくこの巻以降を読む中で考えていきたいと思います。
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