「グレイヴディッガー」 高野和明 講談社文庫2005/06/27 23:46

筋金入りの悪党八神は、心を入れ替えて生まれ変わるため、骨髄移植のドナーとなった。いよいよ入院を間近に控え、準備に向かった友人宅で殺人に遭遇する。間髪入れず追われる身となった八神は病院を目指して東京縦断となる逃避行を始める。

「13階段」がまずまずだったので、見た瞬間買ってました。息を呑む展開、ハラハラ感と痛快な気分を味わうには良い作品ですね。「13階段」のときとはがらっと変わって、アクション満載、といった感じです。

大都会を舞台に、集団で追いかけてくる敵と警察から逃げ回る、という設定ですが、この構図、麻生幾の「ZERO」の一部シーンを思い出しました。「ZERO」の主役は峰岸、という外事警察官でしたが、「グレイヴディッガー」にも峰岸という人物が出てきます。偶然でしょうか。

で、何も考えなければすごく楽しいのですが、例のごとく引っかかってしまいました。

まず、早い段階で八神は携帯とパソコンもろとも水に落ちるんですが、わずか数時間でこれらを使い始めています。どれくらい濡れたかの描写がないのですが、ちょっとありえないように思います。11月で、乾燥していた、ということかもしれませんが、ちょっと引っかかりますね。

次に、見えない炎で人が焼かれるシーンの描写に疑問です。まるで炎が見えないような書き方なんですが、夜の暗闇で見るわけですから、青白く炎が見えると思うんですが、そんなことはないんでしょうか。

最後、タイトルですが、なんで「ディッガー」と促音入れちゃうんでしょう?英語のカタカナ表記の議論をしても始まらないんですが、むしろ「グレイヴディガー」だと思うんですが。語感の問題でしょうか?

もうひとつ書きたかったんですが、これ書くとホントにネタばれになるのでやめます。全体的に非常に楽しめる作品ですが、もうちょっと練れたんじゃない?という気がしました。

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