「指し手の顔 脳男II」 首藤瓜於 講談社文庫2011/10/23 00:53

精神科医の鷲谷真梨子は自分の患者の不可解な行動に疑問を抱いていた。自分の指示を無視してアルコールを摂っていたにもかかわらず覚えがないというのだ。時を同じくして元関取が無差別に暴力を振るう事件が発生する。やがて事件の陰に以前の爆弾事件の犯人とされている鈴木一郎が見え隠れし始める。

2000年に乱歩賞をとった「脳男」の続編です。この作品は衝撃的でした。アンチヒーローとしての鈴木一郎というキャラクターがすごく立っていて、こういう小説はあまり読んだことがなかったこともあってすごく印象に残っていました。

基本的に登場人物が突飛な名前の小説は嫌いなんですが、これは鈴木一郎のキャラクタを際立たせるため、意図的に特殊な固有名詞を使っているんだろうな、と思います。そうは言ってもやっぱりあまり好きになれないですが。

かなりキワモノな作品のような気がします。好きな人は好きなんでしょう。僕の許容範囲からは少し外れているかもしれません。プロットは過激ですが、「脳男」ほどのオリジナリティはちょっと感じられないかなという気がします。続編の悲しさでしょうか。

「さよなら、愛しい人」 レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 ハヤカワ文庫2011/10/23 01:13

マーロウが仕事の狭間に思わず顔を突っ込んでしまったトラブルの渦中にいたのは出所したばかりの大男だった。女を捜しているという。男はひとしきりバーで暴れ、オーナーを殺し逃げた。マーロウは行きがかり上女を捜すことになり、また面倒な事件に巻き込まれる。

ハードボイルドですね。ウィスキー片手に深夜読む本かな、という気がします。以前読んだ「ロング・グッドバイ」もそうですが、原典として抑えといたほうがよい本だと思います。はい。