「シャトゥーン ヒグマの森」 増田俊也 宝島社文庫 ― 2009/07/25 23:36
広大な北大の研究林で新年を迎えるべく土佐薫は娘を連れ弟の昭の研究小屋を訪ねる。しかし、そこは冬眠に入り損ねた子連れのヒグマの狩り場となっていた。一人、また一人と人間が生きながらに喰われていく中、薫たちの逃避行が始まる。
いやぁ。怖いですね。ホラー大賞でも受賞できるんじゃないでしょうか。何がいやって生きながらに動物に喰われる恐怖。ちょっと勘弁してほしい感じです。ここまで熊って怖いものなんだということを実感しました。
三毛別事件というのも初めて聞いたんですが壮絶ですね。銃がなかった時代は本当にどうしてたんだろうと思います。野生動物の食物連鎖に放り込まれてしまえば、こんなに簡単にやられてしまう人間がどうしてここまで数を増やせたのか不思議ですね。
終盤に近付くにつれ、本当にここまでやるのかという勢いで熊が超絶な能力を示していきます。薫も負けず劣らずのサバイバル能力を見せます。ちょっとターミネータっぽいですね。そこはともかく、話の終わり方は無理やりまとめた感があってあまり好みではないですね。
他にも、妊娠3か月の奥さんにストレスをかけたくないと願う旦那が、通信手段も何もない酷寒の小屋に連れて行くかねという疑問はあるとしても、動物ホラー物として一読の価値はあるかもしれません。
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