「天使と悪魔」 ダン・ブラウン 角川文庫2009/07/05 18:24

大学で象徴学を教える教授ロバート・ラングドンは突然送りつけられたFaxに衝撃を受ける。そこには凄惨な殺人現場と、とうの昔に滅びたと思われる秘密結社の紋様が刻まれていた。その秘密結社は世界最先端の研究機関からある物質を盗み、4人の教皇候補を拉致することでキリスト教会への復讐の火ぶたを切った。ラングドンは殺された科学者の娘ヴィットリアと共に物質のありかと教皇候補の救出に走る。

ラングドンシリーズの第1作です。「ダビンチ・コード」はこの話の後、という設定だったと思います。「ダビンチ・コード」にもそのくだりが出てくるので少し気になっていたのですが、今回映画化ということで読んでみることにしました。

科学と宗教の対立構造の中でそれぞれがそれなりにちゃんとした記述で書かれているのが面白いですね。科学的な記述については、東大の先生の検証サイトがあったりして読後にそちらも読んでみるとまた楽しいと思います。というか、読むのは必須なんじゃないかとすら思いますが。

エンタテイメントとしては「ダビンチ・コード」を上回る面白さかもしれません。息をつかせない展開、派手なアクション共に映画向きですね。あといわゆる旅情サスペンス的な要素もあって興行的、経済効果的には言うことなしです。でも、少なくとも小説としては私は「ダビンチ・コード」の方が好きですね。例えばタランティーノのおっぺけぺー映画ならお約束としてこんなラストも許せるのかもしれませんが、小説としてはちょっと私はどうかと思いますね。ハリウッド的だとは思いますが… そういう意味では「ダビンチ・コード」の方がラストは10倍もよく出来てると思います。

あと蛇足ですが、反物質トラップにはACアダプタつけとけよって何回も思いました。

「シャトゥーン ヒグマの森」 増田俊也 宝島社文庫2009/07/25 23:36

広大な北大の研究林で新年を迎えるべく土佐薫は娘を連れ弟の昭の研究小屋を訪ねる。しかし、そこは冬眠に入り損ねた子連れのヒグマの狩り場となっていた。一人、また一人と人間が生きながらに喰われていく中、薫たちの逃避行が始まる。

いやぁ。怖いですね。ホラー大賞でも受賞できるんじゃないでしょうか。何がいやって生きながらに動物に喰われる恐怖。ちょっと勘弁してほしい感じです。ここまで熊って怖いものなんだということを実感しました。

三毛別事件というのも初めて聞いたんですが壮絶ですね。銃がなかった時代は本当にどうしてたんだろうと思います。野生動物の食物連鎖に放り込まれてしまえば、こんなに簡単にやられてしまう人間がどうしてここまで数を増やせたのか不思議ですね。

終盤に近付くにつれ、本当にここまでやるのかという勢いで熊が超絶な能力を示していきます。薫も負けず劣らずのサバイバル能力を見せます。ちょっとターミネータっぽいですね。そこはともかく、話の終わり方は無理やりまとめた感があってあまり好みではないですね。

他にも、妊娠3か月の奥さんにストレスをかけたくないと願う旦那が、通信手段も何もない酷寒の小屋に連れて行くかねという疑問はあるとしても、動物ホラー物として一読の価値はあるかもしれません。