「螺鈿迷宮」 海堂尊 角川文庫2009/01/24 22:24

落ちこぼれ医学生天馬大吉は、幼馴染の新聞記者葉子の陰謀で碧翠院桜宮病院で行方不明になったチンピラの調査に送り込まれる。老練な父親と美しい姉妹が支配するその病院には死の香りが漂っていた。

「チーム・バチスタの栄光」から続くシリーズです。こちらは田口センセはチョイ役で、白鳥と氷姫こと姫宮が重要なキャラクターとして登場します。姫宮のキャラクターはなかなかいいですね。

前作、でよいのかどうかわかりませんが、「ナイチンゲールの沈黙」もなんだか叙情的な表現が多かったんですが、こっちもそうですね。あと、ちょっと白鳥の凄味が薄まってるような気がして物足りない感じです。「ナイチンゲール…」の夢の続きを見ているようです。

それでも姫宮や主人公の天馬のキャラが良かったりしてなかなか楽しめました。姫宮に関して言えば、なるほどそういうキャラにしたか、という感じです。ぜひドッペルゲンガーの田口センセと対決してもらいたい。

結末まで読んで1点だけ言いたいのは、天馬は絶対に悪くない。それは線引きの問題ではなくて、論理的にそうだと思います。そこをぼやぼやっと天馬の内省だけで片づけちゃったのはどうかな、という気がします。こここそ白鳥にバッサリやってもらいたかったですね。