「富士山頂」 新田次郎 文春文庫 ― 2008/12/21 00:34
富士山頂に気象レーダーを建設する責任者、気象庁測器課長葛木は予算獲得、入札に向けた発注業者選定に奔走する。ギリギリの調整の末レーダー建設は着工にこぎつけるが、富士山頂という条件の下幾多の困難が待ち受けていた。
ひょんな事情で手にした本です。これまでの新田次郎の作品からすると、今ひとつキレにかけるなぁという印象でした。ドラマチックに書きたいような、でも客観的に突き放したいようななんだかもやもやした感じを受けました。
新田次郎自身が気象庁測器課長時代に富士山レーダー建設に携わった時の経験がベースになっているようです。1社発注とする、という方針に対してぶれずに取り組む姿勢は評価できるのですが、やっぱりこれはコンプライアンス違反だよなぁ、という感じですね。そもそも発注方式自体は手段であって、そこに固執する必要がどれだけあったのか、そこが気になるところです。それよりはレーダーそのもののスペックに対するこだわりをもっと書いて欲しかった気がします。
そうして苦労した富士山レーダーも今は解体されてしまったようです。衛星による観測が主流になったからだと思われますが、時代の移り変わりを感じます。もちろんそうなるまで数多くの台風を捕らえ、何度も自然災害の被害を軽減するのに貢献したことは事実だと思います。関係者の皆さんの努力には感謝したいと思います。
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