「ナイチンゲールの沈黙」 海堂尊 宝島社文庫 ― 2008/10/18 22:40
クリスマス前に吐血して東城大学病院に運び込まれたアル中の歌手と小児科病棟で眼球摘出を控えた子供達のケア。そして殺人事件。不定愁訴外来の田口に次々と難題が降りかかる中、最大にして最凶の厄介事が霞ヶ関からやってくる。
「チーム・バチスタの栄光」に引き続き愚痴外来の田口と厚生省の役人白鳥が主人公です。心理劇的な側面が強かった前作とは違い、こっちはSFですね。好き嫌いがくっきり分かれそうです。私はそんなに印象悪くないんですが、前作を読んでなかったらダメだったかも、とは思います。
冴子と小夜の超能力もすごいですが、加納の電脳紙芝居が私にとっては最大のSFですね。技術的な裏づけはあるんでしょうが、コンピュータは万能の箱という扱い方はやめてくれ、とどうしても感じてしまいます。特に最終盤ですが。あと、前作からですが固有名詞に対する「通称」とか「人呼んで」とかが多すぎてちょっと鼻につきますね。
全体に相変わらずとぼけた軽いノリの文体ですが、ところどころにウィットを感じます。そうした文章で現在の医療現場の実態や問題を描くことで、ただただ暗くなりがちな話題をニュートラルに現実の問題として認識出来るのは私は良いことだと思います。
なんというか、次作へのつなぎみたいな話なのかしらん、と邪推してますが、ま、次も買ってしまうんでしょう。きっと。
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