「フェルマーの最終定理」 サイモン・シン 新潮文庫 ― 2007/09/08 15:08
暗号解読に味を占めて、サイモン・シンの出世作を買ってみました。結論からいうと、これも非常に面白い。ディスカバリーチャネルとか、NHKスペシャルの科学モノとか好きな人はたまらないんじゃないでしょうか。あと、ある程度の数学知識を身につけた中高生とか読んでほしいなぁ、と思いました。
n >= 3 のとき、X^n + Y^n = Z^n を満たす整数X, Y, Z は存在しない。
私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。
この定理(予想)と言葉で、フェルマーはまさに世界を呪いにかけたといえます。その呪いに挑んだ人々、そこから生まれた数学、そうした努力の果てにワイルズが呪いを解くまでの過程が描かれるわけですが、難しいことは簡単に、わからないなりにも面白く書かれていて、数学が苦手な私でも十分楽しめました。
しかしながら、数学の知識があるにこしたことはないですね。数学の基本的な要素について簡単に説明してある一方で、知っていればふんふんと読み飛ばしていけますが、知らないとちょっと詰まってしまうかもしれません。とはいえ、多分中高生レベルの数学の知識があれば十分ですし、なくても、まぁ楽しめます。
で、蛇足ですが、こういったひどく抽象的な数学の分野で、谷山豊と志村五郎という日本人がものすごく重要な役割を果たしていて、しかもそれがきちんと取り上げられている、という事実がうれしかったですね。
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