「ローマ人の物語14~16」 塩野七生 新潮文庫2005/12/13 00:13

この巻はカエサル後のローマ世界を、初代皇帝であるアウグストゥスがどのように固めていったか、が主題です。めくるめく映画のようなカエサルの巻に対して非常に地味な感じは否めません。しかしながら、共和政主義の元老院の目をなんとなく欺きながら事実上の帝政へゆっくり慎重に進めていく様子はなかなか興味深いですね。

時代の変わり目には必ずエキセントリックな、というか突出した才能を持った人間が出てきます。カエサルしかり、日本で言えば、源義経、織田信長、坂本竜馬といったところでしょうか。こういう人たちはゲームのボードをひっくり返してルールを変えてしまうところまではできるんですが、たいてい抵抗勢力に殺されてしまうようです。

「読者に」の章の最後の一文が、この巻の全体を如実に説明しています。
天才の後を継いだ天才でない人物が、どうやって、天才の到達できなかった目標に達せたのか。それを、これから物語ってみたい。

今は時代の変わり目でしょうか、いろいろエキセントリックな才能が出てきているように思います。ホリエモンしかり、楽天の三木谷社長しかり。殺される、という極端なことはないにしても、実は、知らないうちにのらりくらりとやってる天才でない誰かが天下を取ってしまうのかもしれませんね。