「異人たちの館」 折原一 講談社文庫 ― 2006/05/21 15:01
失踪した息子の伝記を書いて欲しい。ゴーストライターで糊口をしのぐ作家島崎は、宝石商の婦人から奇妙な依頼を受ける。失踪した息子、小松原淳の奇妙な半生を追ううち、彼の周囲に見え隠れする「異人」の存在を知る。やがてその「異人」は島崎の周囲にも姿を見せはじめ…
下手なことを書くとネタバレになりやすそうな作品ですね。あちこち仕掛けがあって、うっかり感想が書けません。全般的にな私の感想は、つまらなくもないけど、特に見所もない、という感じですね。私、昔はミステリ大好き少年でしたが、実はもう、あんまり好きではないのかもしれません。
折原一は叙述トリックを多用する、とwikipediaの推理小説の項にもありますが、最初の方からその香りがぷんぷんしてました。が、まさかこう来るとは思ってなくて、「そうまでしてトリックをかけるか…」と感じました。とんちの効きすぎたクイズみたいな感じですね。腹は立ちませんが、ちょっとあきれる感じでした。
小説としては計算されつくしていて、非常に巧妙だと思いました。ただ、話の展開を後で整理すると、ちょっと行き当たりばったりな感じがして、計算された犯罪、という印象はありませんでした。その辺が私にとってグッとこない理由でしょうか。私がミステリに求めるものがズレているのかもしれません。
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